オリジナル家具・金物の上手工作所

上手工作所の商品とその後のストーリー。

納品したアイテムの経年による魅力をお伝えしたいとその後を取材、
そしてご自身のものづくり、商品やサービスの思いなどのお話を聞かせていただきます。

前回記事ムジカティさんに納品させていただいたテーブルがきっかけで上手工作所を知り、
「旧宮塚町住宅」の同じ建物内にある陶芸の工房兼ショールームの什器のオーダーを頂いたyoshida potteryさんを訪ねました。

話をうかがったのは陶芸家の吉田正和さん。

お茶文化の中心地として知られる京都・宇治にある窯元「朝日焼」で修行を積まれ、
独立をされるというタイミングで、什器のオーダーを頂きました。

-2019年より3年近く使っていただいていますが、
上手工作所の家具や什器の使い勝手などはいかがでしょうか?

吉田さん この工房のコアな部分をしめているので、
デザイン性と部屋の雰囲気にマッチしていて、やっぱり大好きですよ。
ここにこれが来て良かったな。

-嬉しいですね!
テーブルもチェアも粘土が塗り込められ、独特のエイジングとなっていて、
作業場という雰囲気が出ています。かっこよくお使いいただき、ありがとうございます。

吉田さん 天板はタモの一枚板です。
陶芸家の作業台として、こんないい天板を選ぶ人はいないでしょう。
合板の天板に足の太いものが一般的だと思います。高さももう少し低くて。
この上で土をもんで、黒くなっている箇所は手回しのろくろを使うのでその跡です。
天板はサイズ感と何より木の印象で決めました。
お店に足を運んで、話を聞いて、木にはあまり詳しくないですがいい板がみつかりました。

-【BOU】Iの字シェルフ やカーテンレールはサビが想像以上の渋みとなっていますね。特殊な環境下ということもあるのでしょうが。

吉田さん シルバーの機械が窯で、窯の水蒸気が出て影響していると思います。
サビをおさえる方法をお聞きしていたけれど、あんまりややこしいことはせずに、そのままにしています。
自然に育っていくもの、そういうものが好きです。展示用のテーブルなんかは昔のものを使ってます。

-経年による変化をご理解いただき、ありがとうございます。
対面で購入していただくには多少問題ないのですが、ネットで購入された場合などイメージと違ったなど、ご理解いただけない場合もあって…。
ここまでのサビは私たちも想像以上でした。逆にこうなって欲しくてもならないですね、経年をだいぶさせた感じです。

吉田さん のせているものが重たいので、強度が弱くなるのは気になりますが、たぶん、そのままさわらずにいきます。
あとはサビの粉が器につくことがあって黒点になる可能性があるんですが、自分でコントロールしながら使えるんで。

-続いて、ご自身のものづくりについてもお伺いしたいのですが、どんな風に作品を作られるのですか?

吉田さん 器は何も考えずに作るタイプです。
設計図があるわけではなく、土を置いて座ってみて、手を動かしてみて、後から記録をしておいた方がよかったな。
と思うこともしばしばです。サイズを測るのを忘れていたり。

-そうなんですね。吉田さんの器はモノトーンが多くシンプルで洗練された印象だったので、茶道具の世界がルーツだったとはとても意外でした。

吉田さん そうですか。
口当たりや手に持った印象を大切にしています。重たさや質感など、茶碗は大事にされる部分なので。
口の作り方で味の印象も違ってきます。
日本酒なんかはすきっとした口元で、茶碗は厚みを持てせて熱さが伝わらないように。
薄すぎると扱いが雑になりやすい、適度な重さも必要です。

-なるほど、長く使いたい器は、そういうところが重要ですね。

-独立されて、最初に作ったものは何だったんですか?

吉田さん 何だったかな。
いざ自分でつくり始めるとき、なんでもありすぎて まずは色をそぎ落として、白黒からはじめたんです。
そしたら形が見えてきて、色のあるタイプはコロナ過で人の出入りがなくなった時に生まれました。

-最近はどんなお客様が多いんですか?

吉田さん ここは来店というより、工房という使い方がメインですね。
雑貨店、ファッション系などのブランドに卸したり、今週はブルックリンにも送ります。
東京より先に海外がいいと聞いて、シンガポールや台湾など、日本の美意識は海外でも通用します。

-海外へ展開されたきっかけは何ですか?

吉田さん コロナが流行る前に陶芸教室なども担当していて、そこでご縁があったりしました。
コロナが流行り出す直前にスーツケースにいっぱいつめて台湾に行きました。
同じタイミングでビジネスを始める方と知り合ったことが大きいですね。
お店として確立していて、既に作家さんとの付き合いがある方は、ゆったら相手にしてくれない。
これから一緒に歩んでいける方と一緒にスタートしました。

-これからブランドやお店づくりをされる方には参考になるお話ですね。
吉田さん、ありがとうございました。

粘土が塗り込められた、ろくろの前の杉スツール

展示会等に使うという上手工作所の折りたたみ看板、こちらもサビがいい風合いに

yoshida pottery

陶芸家 吉田正和
芦屋・旧宮塚町住宅のスタジオで作陶されています。
第一印象の美しさを追求しながらも茶の湯を通して培われた美意識を形にし、お客様の幸せに繋がるうつわを提案。
使い手によって様々な表情を生み出すこと、使うほどに魅力が増すものづくりをされています。

兵庫県芦屋市宮塚町12-24 旧宮塚町住宅 2階 8号室

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