オリジナル家具・金物の上手工作所

上手工作所の商品とその後のストーリー。

納品したアイテムの経年による魅力をお伝えしたいとその後を取材、
お店づくりへの思いなどのお話を聞かせていただきます。

上手工作所から車で15分ほどの場所にあるLe tonton(ル トントン)。
2021年のオープン時に家具や金物を納品させていただき、約1年が経過しています。
至る所に上手工作所のアイテムが隠れており、まるで上手工作所のショールームのようなお店です。

お料理の内容については「くぼさんぽ」でご紹介しています。

時間の経過によって、ピカピカだった真鍮看板がしっくりと馴染んだ色味に。
そして、温かく迎えてくださったオーナーシェフの中田さんは、サミットや寝台特急『トワイライトエクスプレス』のメニュー開発など、華麗なる経歴の持ち主。

もともとお住まいの2階建ての住宅の1階部分を店舗に改装、中田さん自身も手を動かして工事に参加され、
図面はなく現場でサイズ感などを確認しながら約4か月の期間を経て完成させた店内は、内装から器、道具までお店の世界観が一体となった唯一無二の空間です。


納品から1年、まだまだキレイにお使いですが、真鍮や鉄パーツは風合いが出てきています。

お店のメインの場所に位置する、作業台とつながるテーブルは2枚の板をつなぎ、あえて鋸めを残したラフな質感。
経過の途中ですが色味が落ち着き、趣のある質感に。

オイル仕上げの天板はコースターは使わないそうですが輪じみも目立つことはなく
表情が増して、深みのある雰囲気を醸し出しています。
特別なお手入れはしていないそうですが、毎日水拭きをした後に、乾いた布でしっかり拭いているそう。
経年によってツヤが増したチェアはきっちりと並べられ、大切にお使いいただいていることが伝わってきます。

春日大社の倒木の材を利用した飾り梁も、月日を経て徐々に貫禄が出てきています。
歴史の重みが加わり、空間に緊張感が生まれます。

こちらは中田さんのセレクトですが、器も長年使い込むうちに少しずつ風合いが変化していくものを中心に。
提供されるお料理の内容が引き立つよう、サイズ感や手触りにもこだわって揃えられています。
この日はお料理を頂きながら、話を伺いました。

-上手工作所を知ったきっかけは何でしたか。

中田さん 同じ町内でお店を見かけて、雰囲気が好きで特に買い物をする予定もなく、ふらりとショールームに行ったりしていました。
怖い顔の人がいるな。と思ったら上手工作所の社長だったんです(笑)
その時、私が乗っていたベスパというバイクを見て「面白いバイク乗ってるやん」と会話が弾み、そこから長いお付き合いになりましたね。

-お店づくりはイメージ通りでしたか?

中田さん 図面もなく最初からイメージは全くなかったです。
日曜大工はほとんど初心者でしたが、工事に一緒に参加して素材を選び、現場で使い勝手を確認しながらお店が完成しました。
もともとは、大皿にざっくりと盛るような「ビストロ」チックなカジュアルなお料理のお店にしようかという発想もあったのですが
上手工作所の社長や工事に関わる皆さん、職人さんがそれぞれに本当にひとつひとつの材料こだわられていて、お店のスタイルにも影響を受けた部分があったんですよ。
一緒に作業をしたからこそ、自分の作りたいものが見えた。というのはあります。

-お店は感覚を頼りに作られたのですね。
中田さんのお料理やアイテムにこそ、1点1点にストーリーやこだわりがありますし
作業台からひとつながりのカウンターは距離が近くて、全力でおもなしをしていただいているというのが伝わってきます。

-お料理やサービスなどで、大切にされていることは何ですか?

中田さん ご予約をいただいた時点からも、お客様一人一人をイメージして材料を仕入れて
そのお客様に合ったお料理を提供できるよう心掛けています。
素材は地元で採れる旬の野菜を使うので、毎日違います。
農家さんにバイクで直接もらいに行ったりするんですよ。
メールなどではなく予約は電話のみ。というところもこだわりで、どんなお客様なのか少しでも会話をすることで、相手のことを思い浮かべてメニューを考えています。

親しい友人をもてなすことと同じですよね。
そんなモチベーションで料理を仕込んでいます。


中田さん スープにも力を入れてますね。
ランチでもディナーでもLe tontonのメニューに必ず登場する旬の野菜を使ったスープ。
うちの母親が病気をして食事ができず、流動食ばかりで食事を楽しめなくなって
自分が料理人として何かできないかと考案したんです。

噛む力や飲み込む力が弱っても「おいしい」と味わい、食べる喜びを忘れないでほしい。
他にもそんな人がいるんじゃないかなと店頭やオンラインショップでも販売をしてます。
まだまだ認知されていなくて、求めている方に届いていないんじゃないかな。というのはありますが。

-スープは滋味深いお味で、体の芯から温まりました。
「くぼさんぽ」でも紹介しています。
相手のことを想う中田さんの人柄、優しさがにじみ出ているようなお料理。
お話もたくさん聞かせて頂きながら、ほっこりとした時間を過ごさせていただきました。
中田さん、ありがとうございました。

フォトギャラリーと上手工作所のアイテム紹介

木部とともに経年美が進んだ真鍮フラットハンドル

使い込むことで味わいが出てきている真鍮 片座ドアハンドル

真鍮ブラケットライト(仕様変更あり)

材のみの提供、中田さんが貼ったサビ鉄の板

落ち着いた色味の店内

ヘラ絞り職人がつくるBOWLER シェードのランプ

モンキーポッドの天板とオリジナル脚

真鍮照明と鉄フレームミラー

夜はまた一段と趣きのある雰囲気に

ディナーも野菜が主役です

Le tonton (ル トントン)

本場フランスで料理を学び、トワイライトエキスプレスや九州沖縄サミット・G20の料理を担う凄腕の料理人でありながら
旬の野菜が主役、発酵食をメインに体に優しく、心も体も癒されるようなホスピタリティのお店です。
遠方から飛行機で来られるお客様も多いそう。
アクセスは能勢電鉄のときわ台駅から徒歩2分ほどの住宅街の中。
上手工作所までも車で15分ほど。

大阪府豊能郡豊能町ときわ台 1-5-7

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