上手工作所の商品とその後のストーリー。
納品したアイテムの経年による魅力をお伝えしたいとその後を取材、
オーナーの思いなどを交えてお話を聞かせていただきます。
京都市営地下鉄烏丸線「四条駅」より徒歩8分の場所にあるカフェ「Common Well」
2021年に家具や金物を納品し、約3年半が経過しています。

カフェの聖地「メルボルン」スタイルを採用し
バリスタが淹れるスペシャリティコーヒーやラテアートが楽しめる本格仕様。
ホテルに併設されており、モーニングからディナーまで楽しめます。
上手工作所とのご縁は建築の内装設計をされた方からの紹介で
ハイスツールやチェア、看板などのアイテムをオーダーいただきました。


お話を伺ったのは、ホテルとカフェの総支配人を務める山下博史さん。
これまで客室が200室以上、価格競争が激しいビジネスホテルチェーンなどの経営に携わる経験をお持ちですが
そういったビジネスに限界を感じ、小規模で独創的なコンセプトを持つブティックホテルの開発に。
「HOTEL RINGS KYOTO」は、客室が38室
上質感もあるけれどカジュアルな雰囲気、そして朝は7時から夜は10時まで
いつ来ても最高に美味しいコーヒーが飲めるお店があればいいな、
とご自身の旅の体験からも、心地よい雰囲気を目指してオープンされました。
-上手工作所に家具をオーダーされたきっかけは何でしたか。
山下さん 設計を担当された方からいくつかの提案があったんですが
ちょうど私が腰かけているこのチェアを気に入ったんです。
存在感があって、座った時のはまり具合とかもちょうど良かったんですよ。
ワインを飲んだり、ディナーでゆっくり腰を据えて料理を楽しんで頂く時にも
幅があって居心地がいいですね。

「HOTEL RINGS KYOTO」及び カフェ「Common Well」の総支配人、山下博史さん

「面」を使ったフレームのデザインが面白い Reチェア
-素材は杉で見た目以上に軽いですし、空間を有効活用できることもこのチェアの特徴ですね。
明るい印象の店内に、とてもなじんでいます。
納品から3年半が経過していますが、その他の使い勝手はいかがですか?
山下さん ファブリックの色味が気に入ってたのですが
お客様がコーヒーなどをこぼされて、汚れてきてたんですよね。
それで、つい2ヶ月くらい前に上手工作所さんで張り替えてもらったばかりなんです。
汚れというのはどうしても発生してしまうんですが
張り替えなど、メンテナンスをしっかりしてもらえるというのは有難かったですね。
量販店で購入した家具は、廃棄して選び直すことになる。
それはそれで新しくなっていいのかもしれませんが
角の丸みの部分の光沢とか、味わいもなくなるし張り替えながらも長く使える。というのは良かったです。

時間の経過で木部が自然な風合いに

使い込まれてツヤが出てきた角の丸みの部分
-他にもハイスツールやチェアなど上手工作所のアイテムを採用いただいていますが
使い勝手はいかがでしょうか?
山下さん 朝食からディナーまで色々なパターンの席を用意しています。
特に入口付近のハイスツールについて
背もたれがあるタイプとないタイプ両方ありますが
この背もたれがない方が座った時の姿勢の自由度が高くて安定するんですよ。
パッと見た感じくつろげなさそうな気もしますが、僕自身すっごく座り心地がいいな。と感じています。
ここでランチを食べることも多いんですが、コーヒーや食事も快適ですよ。

入口付近に並んだ【SOU】杉 ハイスツール
ゆるやかなカーブと杉の柔らかさが心地よい座面

背もたれつきの【SOU】杉 カウンターハイスツール
座面と同じうづくり仕上げの杉が背中をソフトにサポート

カウンターで、背もたれなしのハイスツールに腰かける山下さん

経年により、座面がツヤやかに

入口の無垢の天板を活用したベンチ(ナラ)
テイクアウト商品をお待ち頂く時や、ちょっとしたディスプレイ
混雑時には座席としてもマルチに活躍
奥行が浅めで圧迫感がなく、耳付きの形状が有機的

ランチタイムにほどよいリラックス感
h2チェア(布張)
わずかに上向の角度をとった背もたれは
手で支えているかのようにしっくりと背中にフィット
-ホテルやカフェの経営を始められたきっかけは何ですか?
山下さん コロナ直前に大手のビジネス系のホテルの経営を退任して
地元である京都で何かしたいとコロナ過にいろんなことを考えていたんですよ。
パリとかロンドンとかリゾートではなくて
海外の都市、街を観光するのが好きで、そんな時に自分が泊まるのが
ちょっとセンスが良くて、街の雰囲気を感じられるホテルだったんですよ。
玄関から、大きなロビーを通って自分の部屋に入るまでに扉を何枚も開けるような大手のリゾートホテルではないけれど
客室に入ったら、しっかりとリラックスできるような所。
そして、規模が大きいとサービスもどうしても機械的になりますよね。
そうではなくて、客室の数も減らして。うちはスタッフとお客様の距離感も近いんですよ。
そして、ビジネス利用は完全に捨てて、海外・国内はこだわらず
観光で来るお客様に、上質だけれどカジュアルに街の雰囲気を楽しんでいただけること。
観光するための拠点になるような、3泊ぐらい泊まれるホテルをつくりたいな。ということをコンセプトにしました。

ホテル側の入り口
上質感のあるロゴが印象的

カフェの看板
カジュアルで気さくな雰囲気、アイテムは上手工作所の鉄フレーム スタンド看板(大)
-どんなことを大切にされていますか?
山下さん 宿泊されるお客様にとっては快適な場所で
日本で一番、コーヒーの美味しいホテルです。と言えること。
そして、京都にたくさんあるカフェの中でメルボルンスタイルカフェとして認知され、ポジショニングを確立したい。
ここではバリスタを育成し、日々トレーニングをしています。
また、豆の鮮度管理を徹底し、コーヒー豆やミルクの種類、温度、トッピングなど
いろんなことをカスタマイズしてオーダーできることがこのカフェの特徴です。
そんなこだわりのカフェの存在がホテルの価値を高めてくれています。

世界のトップバリスタが監修するメニュー。
ラテアート世界大会で2度優勝、5年連続世界大会で入賞した下山 修正氏。
世界的なカフェの聖地メルボルンで7年間にわたり約10店舗のカフェをプロデュースしたカフェ伝道者です。
写真は備長炭を使ったラテ。オーソドックスなものからフォトジェニックで楽しい新メニューも充実しています。

豆やミルクの種類、温度、泡の量まで選べる、
カフェの聖地「メルボルン」スタイルのメニュー。
朝昼夜とさまざまな料理とドリンクが楽しめる、ヴィーガンメニューも豊富です。

縦長のガラスカップで提供された、アーモンドミルクのラテ。
メルボルンでラテはガラスのカップで提供されることが多いそうで
ミルクの厚みが確認できる本格仕様です。
-観光客で賑わう京都で安心して落ち着ける雰囲気の店内。
忙しい時間帯にお邪魔しましたが、スタッフの方々の笑顔も印象的でした。
ゆったりとお話を聞かせていただき、楽しい時間を過ごすことができました。
山下さん、ありがとうございました。
Common Well
ホテルに併設されたカフェ。
カフェの本場、メルボルンで修行を積んだバリスタが淹れるコーヒーは外国人観光客にも人気で
モーニング、ランチ、ディナーまで提供されています。