オリジナル家具・金物の上手工作所

wip stool
上手工作所のチェアに、新しい仲間が登場しました!

フレームに真鍮を使った、ありそうでなかった
【WIP】 Stool(ウィップ スツール)。
開発したのは真鍮グループのリーダー、大沼さんです。

今回の製作について、椅子について、大沼さんに話を聞きました。

【WIP】stool(真鍮スツール)

大沼さんと真鍮スツール


Q1.真鍮のスツールを作ることになった経緯を教えてください

大沼さん: 上手工作所のラインナップに、真鍮のテーブル脚は以前からあったんですが、真鍮の椅子はずっとなかったんです。
お客様からも「真鍮の椅子はないんですか?」っていう声は聞いてたので、試作はしてたんですが、
強度的に難しくて諦めたんです。2年ほど前ですかね。
けど、やりたい気持ちはずっとあって。

今回の真鍮スツールの話が始まったのは、去年の末くらいだったと思います。
お客様の声と、2月に開催した「座具展」という、椅子だけ集めたイベントも後押しになりました。
半年くらいずっと試作と改良を続けてきました。

Q2.今回の【WIP】Stoolは、どんな椅子を目指しましたか?

大沼さん: 飲食店で使うツールとして考えています。
僕はいつもものを作る時、イメージマップを作るんですね。
イメージマップの中にいろんなワードが出てくるんです。
例えばお店の床の種類とか、足元は靴を履いてるのか脱いでるのかとか。
その中でシーンをより明確にしていって、「飲食店で靴を履いて座る椅子」を想定しました。

幅が1600~1800mmのダイニングテーブルに4人で座ることを想定して、サイズを出しました。
シートの高さは420mmです。
ご飯を食べるときにゆったり座って欲しくて、座面もできるだけ大きくして580mmです。
座ってない時は椅子をテーブルの中に収められるようにしたくて、
脚に角度がついてるので、脚の幅が最大なんセンチまで、
そこから逆算してシートの大きさはここまで…という値の中で最適解を探すために、
実際にお店に置いてもらってお客様やスタッフの意見をもらいました。

奥行きの360mmは、テーブルに貫きがあった場合にぶつからずに片付けることができます。
持ち手がついてるので、掃除するときや運ぶときには店員さんにもメリットかと思います。

ダイニングテーブルを囲んで食事する様子

ダイニングテーブルの下にすっきりと収まるサイズ感

Q3.飲食店には背もたれ付きの椅子も多い気がしますが?

大沼さん: これは僕が尊敬するデザイナーの秋岡芳生さんの考え方を拝借してるんですけど
日本人らしくご飯を食べる姿勢って、背筋が伸びてる姿勢だと思うんです。
となると、背もたれなしの椅子がいいのかと。

今回スツールを作ると決まってから目的を絞っていく必要があって、
それなら一番最適なのは飲食店だなっていうところでメインターゲットが決まりました。

背なしなので、自然と背筋が伸びてくる

Q4.制作中に難しかったところはありますか?

大沼さん: 真鍮は強度が持たないんですよ。

実際に真鍮で椅子を作ってる人はとても少なくて、
フレーム全てを真鍮で組んでる椅子って本当に見ないんですよ。
それは強度の問題があるからだと思います。

最終的には角度を持たせることで解決したんですが、いろんな角度を試しましたね。

最初は前と後ろだけの「二方転び」にしたかったんですけど、横に対しての揺れが止まらなかった。
真鍮がしなってしまうんです。
「四方転び」が強いというのは分かってたんですけど、四方向に向かって足が外に広がるので幅が広くなるんです。
テーブルの中に収めたいと思ってたので、そこは最後まで葛藤してました。
何度も試作して、四方転びでもいい感じのサイズに収まったんで良かったです。

二方転びと四方転び(大沼さんの図)

あとは「座繰り(ざぐり)」ですね。
座繰りはドアハンドルとかに前からやってましたけど、最近座繰り機を購入したんです。
座繰り加工したところにピタッと密着したボルトをロウ付けすると強くなりますし、見た目もキレイですね。

今回のスツールは、一番美しい角度は正面から見た時だと思ってます。
そして正面から座繰ってる部分が全部見えるんです。

正面からスツール全体を見た写真

正面から少し寄りで見た写真

座繰り・ロウ付を施した部分

「金属愛好家」として、座繰りのキレイさは自転車を参考にしました。
自転車は強度を高めるために全部座繰ってるんです。
僕の自転車は座繰りの勉強のために買ったところもあります。笑

 

Q5.「金属愛好家」、初めて聞きました。笑
大沼さんが椅子に求めることは何ですか?

大沼さん: そのシーンに適した道具になっているかどうか。
お客さんがご飯を食べる、店員さんが椅子を運ぶ。
オペレーションもフォローできる形になっているかどうかですかね。
家で使って欲しくないわけではないですけど、目指してるのは機能性です。
道具なので機能してないと意味がないと思ってます。

Q6.自分が自由に好きな椅子を作れるなら、どんな椅子を作ってみたいですか?

大沼さん: 僕が全てを考えていいんですか?

家で使う椅子をデザインしてみたいですけど、今の住宅のニーズを探った中でどういうものが求められているのかをまず探すとこから…
じゃなくて、そんなの全く考えないで作りたいものを作れるなら…、いや、難しいですね。

なんでしょうね。意匠は機能を追い求めた結果だと思ってます。
使ってくれる人が「この椅子じゃないと。」と思ってくれたらそれでいいんです。
そして最終的にでき上がった形が美しければ最高なんですけど、美しさの基準は人によって違うので。

背付きの椅子は、求められているシーンやニーズが見えたらチャレンジしたいなと思ってます。
どんな人にどういうシーンで使ってほしいのかっていうところをまず探す。
上手工作所は25年間家具を売ってきたノウハウもあるので、その蓄積を活かしたいです。
座面の素材は、長時間座るならペーパーコードやレザーの沈み込みが合ってます。
そんなことも考慮しながら、いずれ後追いでやりたいなと思ってます。

Q6.最後に、【WIP】Stoolという商品名は大沼さん発案ですね。
どういう意味でしょうか?

大沼さん: “WIP”は、“Work In Progress”の略です。
未完成とか進行中とかの意味があって、上手工作所らしい言葉だなと思ってます。

商品が完成したら終わりじゃなくて、販売してからもこの椅子の人生は続いていくわけですよね。
商品名の由来って今まであまり意識してなかったんですけど、
それなりに思い入れもありますし、買ってもらうときはその辺まで気に入ってもらえたら嬉しいです。

僕が作って初めて世に出る椅子なので、この椅子のことは絶対に忘れないと思いますし、
【WIP】Stoolの商品名も、初心を忘れないための材料になったかなと思います。


商品詳細

【WIP】Stool

  • 【WIP】Stool【WIP】Stool43,000円(税込47,300円)