オリジナル家具・金物の上手工作所

初回のゲストは、エルメンドルフ久美子さん。
夫でカメラマンのスターリン・エルメンドルフさんと二人三脚で事務所を運営し、自らはその社長。
さらに京都・亀岡市で農業にも挑戦。
とにかく会うだけでパワーをもらえる!そんな素敵な方です。


自然が作った美しさをそのまま残したい

徳田 ところで久美子さん、これ見てどうですか?

4段に分けられた切り株の花台

久美子さん 私は自然そのまんまの台が欲しかったんです 。
このフォルムがもう木が作ったものじゃないですか。
自然が作ったものは人間が真似できない美しいもので溢れてるんですよ、花も野菜も含めて。

徳田 毎回思うのがそこなんですよ。
僕らは作家じゃないんやけど、普通の商品を作ってる家具工場でもない。
毎回の悩みは、自分が手を加えれば加えるほど個性を無くしていくということ。
例えばこれに穴を開けるだけでもその個性を殺してそうな気がする。
もう磨かなくてもいいのではとすら思うときがあるんです。

久美子さん 私は日本家屋とか古民家が好きなんですけど、
木でできてて、壁は土壁、屋根が瓦で自然のものを加工して作って、でもいつか自然に戻れるものなんです。
それと一緒でこういう台も、あんまり人の手が入ってないのがいいんです。

私がオイル塗りたいって言ったら徳田さんが塗らないほうがいいって言ってくれたでしょう。
その作り手の意見もなるほど、と思うんです。

ものづくりの中での足し算・引き算

徳田 難しいですよね、その辺の足し算と引き算がね。
できたら引き算していきたいんですけどね。

久美子さん 台の高さを変えられたらいいなと思ってて。
でもどのくらいの高さを買っていいかわからなかったので、 高さ違いで買おうと思ってました。
そしたら徳田さんに「切ったら?」って言われて、「ほんまや!」と。
それは全然考えてなかった。

徳田 僕も言ったものの、後悔したもんね。笑
ものを切るときって基準がいるんですけど、こういう丸太を切る時は基準がない。
基準がないものを真っ直ぐ切るのはまあまあ大変でしたね。

後で久美子さんに言ったのが、最後このパーツを二つに切るときはちょっと怖かったって。
もう一つは一個ぐらいボリュームがあったほうがいいかなと思ったりして、ご相談させてもらったんです。

久美子さん こういう風にちょっとずらして、こういう感じで飾ろうかなってすぐ思ったんですよ。
くっついてたらちょっとバランス悪いかな、みたいな。

切り株をずらして置いたイメージ

徳田 この台は何に使うんですか?

久美子さん お花を生けた花瓶をのせる台がずっと欲しかったんです。

徳田 その花も、普通の花じゃなくて野菜なんですよね。葱坊主とか。

お寺の前で、人参の花を花瓶にいけて花台の上に載せた様子。
ニンジンの花。亀岡市・獨鈷抛山 千手寺(とこなげさん せんじゅじ)にて撮影

花台の上に、パクチーの花をいけた花瓶を置いた様子
パクチーの花

久美子さん 最近だと白菜とか。
白菜って最後、花になって1.5mくらいビヨーンて育つんですよ。
食べれる野菜が育った行く末はとてもキレイなんですけど、
その前に刈り取られて食べるから見たことないでしょう。

徳田 確かに。

久美子さん お花って、食べるとその野菜の味がするんですよ。
大根の花は、大根の味なんです。
キャベツの花はキャベツの味がするし、白菜は白菜の味。

畑で見つけた野菜の花の美しさに感動

徳田 なんで野菜のお花をいけようと思ったんですか?

久美子さん 私たちがここに住もうって決めた理由の一つでもあるんですが、
亀岡市は、有機農業を進める「オーガニックビレッジ宣言」をしてるんです。

その宣言を後押しした、片本さんという農家さんが経営するオーガニックファームで
2025年の2月から研修生をさせてもらってます。

久美子さんが畑で収穫している様子

久美子さんが畑を耕している様子

実際に畑に出てみて実感したんですが、
野菜を育てるのって、本当に本当大変なんですよ。
野菜の値段が高いのはそれだけの理由があるんです。
本当に手間がかかってるんです。

片本さんがすごい手間と愛情をかけて育てた野菜でも、
成長しきれなかったりで、出荷できなくて畑にほっとかれてたものがあって、
それがとってもキレイな花が咲いてたんですよ。

最初見た時は「えー、これ野菜の花?すごいキレイ!」って感動して。

それで、みんなにもこの美しさを見てもらいたい!
そのお花をきっかけにオーガニック野菜の魅力も知ってもらいたい!と思ったんです。

独学ですが、お花のいけ方も勉強したし、花の器も色々集めてたので、
これはやるしかないっ!って感じで。

徳田 ここでボンドガール登場や。笑

野菜の良さと美しさを、花を撮ることで表現

久美子さん 私の母親が畑をしてたんですけど、食べる時期が終わったら抜いちゃうので花まで見れないんですね。
ブロッコリーとか、カリフラワーの花を見たことなかったんですよ。

片本さんの畑は、来年のために種を取るつもりで、どんどん大きくなってる花がそこら中にあるんです。
これ何やろって思ったら、大きくなるまでこれ置いといてもらえませんかって頼んで。
私も毎日畑に行って一緒にやってるんですけど、あれ、このカリフラワーこんなになってる、めっちゃキレイ!って。
それをその日にもらって帰って、いけて、次の日の朝写真を撮るんです。

片本さんの人参の花の写真
九条ネギの花
片本さんのにんにくの芽を生けたもの
ニンニクの芽

片本さんのスイスチャードと春菊の花の写真
スイスチャードと春菊

徳田 めっちゃいいストーリーじゃないですか!
ボンドガールすごいな。
写真を撮ってもらうのはバトンと一緒ですね。

先日のイベントでスターリンに写真を撮ってもらいましたが、お金もかかってるからしっかりやらないといけない。
ミッションが生まれる気がして、わざわざお願いすることが非常にいいなと。
客観的に見て、樹がこんなキレイなんやって気づかせてもらいましたし。

上手工作所は、ブランドに飽きた人におすすめ

徳田 上手工作所のプロダクトは、万人には受けないと思ってるんですが
久美子さんから見てどんな人に向いてますか?

久美子さん  ナチュラルなものが好きで、ブランドに飽き飽きしてる人におすすめします。
人と同じじゃないものに魅力を感じる人。
上手工作所の家具が入ってる空間は、それが効いてるんですよ。

徳田 できるだけ手を加えないように努力しながら、
デザイナーさんがどんなものを好きかを聞いて、じゃあこれでいきましょうと選ぶようにしてます。

久美子さん  デザイナーさんが上手工作所の家具を生かした空間を作ると、
もうまとまってる。できあがるんです。

そして上手工作所の椅子は座りやすいですね。ほんとに気持ちがいいです。
プラスのテーブル

徳田 いやいや、褒めていただいてありがとうございます。

さすが久美子さん、面白い話をいっぱい持ってますね。
またいろいろ聞かせてください。今日はありがとうございました。


 

掲載した野菜の花はすべて、「かたもとオーガニックファーム」産です。

久美子さんのInstagram。美しい野菜の花の写真が多数。

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