オリジナル家具・金物の上手工作所

上手工作所のラインナップの中でも人気の素材、真鍮。
ヴィンテージのような上品な光沢感があり、あたたかみを感じる素材です。
実際にお手入れしてみて、変化を比べてみました。




目次

  1. そもそも真鍮とは?
  2. 真鍮の「経年変化」について
  3. 実験に使用したもの
  4. 真鍮のバーを磨き比べ
  5. 真鍮サイン(平板)を磨き比べ
  6. 実験結果のまとめ
  7. 真鍮の商品一覧

そもそも真鍮とは?

銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金のことで、別名は黄銅(こうどう、おうどう)とも呼ばれます。
亜鉛の含有量が20%以上のものが「真鍮」です。
英語表記では「brass」(ブラス)。
転じて金管楽器をさす言葉でもあり、「ブラスバンド」の名称はここに由来するそう。
身近なところでは5円玉に使用されており、熱を加えることで様々な形に加工しやすいのが特徴です。


真鍮の「経年変化」について

「経年変化」は真鍮の魅力のひとつでもあります。
使うほどに酸化して黒ずみ、光沢が薄れてヴィンテージ感が出てきます。
水に濡れると青錆び(緑青・ろくしょう)が発生することもあります。
これらの現象は真鍮の「味」と言えますが、気になる場合は手入れをすることで軽減することができます。

世間で販売されているものの中には、表面にクリア塗装を施し経年変化をさせないものや、真鍮に似せた塗装を施したものもあります。
上手工作所の真鍮アイテムは、経年により風合いが増すよう細かなパーツまで表面に塗装を施さない「無垢」にこだわっています。

ただ、汚れや経年変化の具合によって、どうしても落としたいという場合は下記の実験内容を参考にお手入れをしてみてください。


実験に使用したもの

ピカール 昔から金属磨きの定番として人気のアイテム。 液体タイプ、チューブタイプ、練りタイプがあります。
今回、使用したのはの油性練りタイプの「ピカールネリ」研磨剤が多く含まれているため研磨効果が非常に高く、
液状タイプでは落ちにくい頑固な汚れもしっかり落としてくれる、頼もしいタイプです。
ホームセンターなどでも購入できます。
研磨パッド 台所用たわしにも使われる研磨パッド。
紙やすりのように、表面を削ることで、汚れを落としたり磨いたりすることができるアイテム。番手によって粗さが異なります。
今回の実験で使用したものは、普段から上手工作所でもよく利用している、スコッチブライト 工業用パッド7447、番手(目の粗さ)は#320相当です。
歯磨き粉 粒入りタイプの一般的な歯磨き粉。今回はクリアクリーンを使用。
重曹 お掃除用重曹、粉末タイプ。
クエン酸 水垢や汚れを分解して落とす、お掃除用のクエン酸、粉末タイプ。

真鍮のバーを磨き比べ

経年により、ややくすんできた真鍮バーを磨き比べます。

【1】ピカールでのお手入れ

手が荒れないようにゴム手袋を装着、柔らかい布に少量を含ませ、優しく磨きます。
力をあまりかけなくでも、あっという間にピカピカに!

【2】研磨パッドでのお手入れ

一定方向に優しく磨きます。
ピカピカではないですが、汚れはとれてくすんだ風合いに。

【3】歯磨き粉でのお手入れ

歯磨き粉の粒を押し当てるようにやや力を入れて磨きます。
ピカピカさは抑えめ、手垢はきれいに。

【4】重曹でのお手入れ

少量の水を加えて、歯磨き粉と同様、粒を押し当てるようにやや力を入れて磨きます。
ピカピカさは抑えめ、手垢はきれいに。

結果発表!

研磨する材料によって、全く違う表情になりました。

ピカールは納品時よりもつやピカで、輝くようなキレイさ。小傷も目立たなくなります。
研磨パッドはマットでくすんだ仕上がり。小傷も目立たなくなり、アンティークのような仕上がりです。
歯磨き粉と重曹は同じような仕上がりで、作業にやや時間がかかり小傷は残ります。

効果とおすすめ度

素材の風合いを大切にする上手工作所としては、真鍮は経年美を楽しんでいただくのがベストですが
手垢などの汚れを落としたい場合、研磨パッドのくすんだ仕上がりがおすすめ。その後も手垢や汚れが目立ちにくくなります。
ピカールは、時間をかけずにピカピカになるのでお手軽ですが、手垢がつくと目立ちやすく真鍮の風合いという点ではあまりおすすめできません。
歯磨き粉や重曹はお手入れに少々時間はかかりますが、身近にあるものなので、気軽にやってみたい。という場合にはおすすめです。

お手入れ溶剤 ピカピカ度 所要時間 おすすめ度
ピカール ★★★
研磨パッド ★★ ★★ ★★★
歯磨き粉 ★★★ ★★
重曹 ★★★ ★★

真鍮のサイン(平板)を磨き比べ

続いては、屋根のない屋外に設置して3年以上経過した真鍮サインを磨き比べます。
サンドブラスト加工で彫り加工を施し、白の色入れを行ったサインです。

1枚目はピカール、研磨パッド、歯磨き粉でお手入れ


真鍮パイプと同じ要領で磨きますが、雨ざらしの屋外で3年以上経過したサインの表面はなかなか元には戻せません。
真鍮パイプがピカールでものの5分できれいになったのに対して、サインは力を入れて10分以上こすってもなかなかです。
比べて、研磨パッドは表面がしっかりと削れるため、文字が消えてしまいます。
歯磨き粉はほとんど変化が見られませんでした。

2枚目は重曹+クエン酸でお手入れ

沸騰したお湯に重曹とクエン酸をおおさじ3杯ずつ加えて10分ほど置きます。
しゅわしゅわと泡が出てきて、表面が赤っぽく銅に近い色味になってきました。
実験ではこの工程を2回行いました。

結果発表!

こちらも、お手入れ溶剤によってかなり違う表情になりました。

実験の結果、真鍮サインの場合はどれも文字入れをしている部分の凹凸が減ってしまう為、文字が見えにくくなってしまう可能性があること。
屋外ではお手入れ作業の大変さに比べて、すぐにまた経年変化するため、お手入れの効果が長続きしないこと。
それらを考慮すると、磨きなおすことを考えず、アンティークへと変化する味わいを楽しんでいただく。というのがベストではないかという結論になりました。


実験結果のまとめ

素材の風合いを大切にする上手工作所としては、真鍮は経年美を楽しんでいただくのがベストですが
手垢などの汚れを落としたい場合、屋内で使用するパイプや平板などの素材については、研磨パッドのくすんだ仕上がりがおすすめ。
サインに関しては、経年後の変化にご理解いただき、お手入れはせずお店の歴史とともに時を重ねていただくというのがおすすめです。

オンラインショップでは、研磨パッドとワックスをセットにしたお手入れキットをご用意しています。
ワックスは表面を保護し、定期的に塗布していただくことで経年によるくすみを軽減します。

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