オリジナル家具・金物の上手工作所

目利き歴50年の西岡氏が推奨する「銘木」の世界をシリーズでご紹介。

第3回目は、全国各地の銘木が集う「銘木市場」をご紹介します。

西岡氏の紹介については >前回記事 第1回
銘木の世界「目利き歴50年の西岡氏について」
をご参照ください。

銘木市場はその名の通り、銘木を専門とした市場で現在は全国に10か所あります。
その中の一つ、大阪府摂津市にある銘木市場に、木工・鉄工・事務所のスタッフで見学に行きました。
案内してくれるのは西岡氏。
ここを拠点とする銘木商に18歳から勤め、市場を知り尽くした大先生です。


銘木市場の周辺には銘木商の店が並び、この一体は銘木団地と呼ばれています。
多い時は120軒ほどの店がありましたが、今では20軒ほどが営業しています。

屋外にも木材がたくさん。毎月、市の日に行われるセリにかけられる材です。
上手工作所で扱う銘木も、主にこの市で買い付けています。

倉庫の中に入ると、こちらにも所せましと銘木が並び、壮観です。


西岡氏がどんなところに注目して材を見るのか、みんな興味津々。


クラロウォールナット。アメリカのウォールナットに、イギリスのウォールナットを接木した品種。珍しくて人気も高い。


最近は白っぽい色めの樹種の需要が高く、「トチ」も人気上昇中。
なかには500万円の材も!

この日はちょうど市の前日。市場では材を並べて準備が始まっていました。


このスペースに、セリにかける材を並べていく。
数が多いので夜遅くまでかかることもあるのだそう。


事務所に飾ってあった、昭和48年の入札風景。
当時は1本5~6千万円の原木もザラに取り引きされていたのだとか。

今は月に1度、多い時で50人くらいが集まってセリがおこなわれるそうです。
※セリには一般の方は参加できません。

市場を一周したところで西岡氏に「今、ここにある一番面白い材は何ですか?」と質問してみたところ、
こちらの神代欅をあげてくれました。

倉庫の中でも目を引くこの欅は、2600年前、鳥海山(新潟県)が噴火した時に埋まった欅が、河川工事の際に掘り出されたもの。
「神代欅」の名にふさわしい風格と存在感を感じます。

長さ約10m。新潟からここまでどうやって運んできたのでしょうか…運送料も気になります…

【追記】
翌日のセリで、西岡氏がこの神代欅を購入したのだそうです!!
あの材が上手工作所に来る!? どうやって運んでくるのかぜひ見たい!!
と思いましたが、現状のままでは運搬が難しいので切って運ばれくるのだそうです。
この欅がいったい何に生まれ変わるのか、続報をご期待ください。

市場を周りながらスタッフが材の価格を予想していましたが、とても難しいようでした。
色や木目の細かさ、杢の種類や入り方など、樹種によっても様々なポイントがあります。
目利き歴50年の西岡氏は、目利きができるまで約10年かかったのだとか。
スタッフ一同、銘木の奥深さをと面白さを改めて感じた1日でした。